数年ぶりに海外で開催した今回のカンボジア・リトリートツアー
は、今回も普通の旅ではなく、「共存の在り方」を、とても稀有な体験から体感するものになりました


写真は朝の祈りの後に出た、美しい彩雲と朝陽です。
私たちは日没前の祈りを行うために、滞在していたビーチの反対側のビーチ
を目指して、ジャングルを抜ける道を歩き始めました。

途中どこからともなく現れた犬が、冒険仲間のように私たちに加わったのです

どこかのホテルで飼われている犬らしくて、途中で引き返すだろうと思っていましたが、離れません。
私たちが進んでいたのは、中国資本によって乱開発された道です。
美しいジャングルを無惨に切り裂いた風景は、途中立ち寄ることになったシアヌークビルの、中国資本の撤退によって廃墟のビルが建ち並んだ、あの暗い光景と重なりました。
この道のおかげで反対側のビーチに辿り着けるのですが、その恩恵を受けながらも、この無惨な光景を歩いていることに、私は大きな葛藤を覚えました。
さらに歩いていくと、道の先に、野生の親子の猿が現れました。
私たちは静かに通り過ぎようとしていたのに、
ついてきた犬が猿たちの方へ走り出して、突然ワンワン!!と威嚇を始めたのです!
そこで犬と猿たちは取っ組み合いになり、なんと犬は血まみれの脚を引きずりながら、 私たちの列に戻ってきました。
驚きました、脚はかなり出血しています

歩く足跡に血だまりが出来るほど出血しているこの犬を、一体どうしてあげたら良いのか。
私はとにかく治癒を祈り、歩きながらヒーリングを行いました。
ビーチに辿り着くと、まるでカウアイ島のケイイ・ビーチのような白い波が打ち寄せる、美しい夕陽の海が広がっていました。
犬は波と戯れながら、嬉しそうに、達成感に満ちています



私たちもホッとして、記念写真をパチリ!
私たちが戻れば、犬もついてくるはずです。
本来なら祈りのワークを行う予定でしたが、私たちはやはり犬のことを考えて戻ることにしました。
ゆっくり歩く、犬の脚が震えています。
海水が傷口にしみて、痛みが強くなったのでしょう。
そして戻る途中の、赤茶色の細かな石が足裏に突き刺さる道で、とうとう犬は歩けなくなり、座り込んでしまいました。
今からビーチに戻って犬の飼い主を探しに行けば日没を過ぎてしまい、私たちはなんの灯りもない真っ暗なジャングルの中に取り残されます。
そしてこの大きな犬を、私たちが担いで運べるわけもありません。
それにまだ、あの猿たちのエリアを通過していません。
そもそも彼らが仲間を連れて仕返しにやって来るようなことがあれば、この犬だけではおさまらないでしょう笑
持っていたミネラルウォーターを犬に見せると、喜んで飲んでくれました。
「絶対に大丈夫、おうちに帰れるよ!」
「もうちょっと休んだら、頑張って歩こう!」
ヒーリングとあわせてテレパシーで会話しながら、
「そろそろ行くよ!」と伝えると、
この犬はなんとか立ち上がって歩き出してくれました。
いよいよ、猿たちのエリアに入りました。
猿たちに敬意を払いながら、静かにこの道を通り過ぎるように、とにかく歩き続けました。
彼らはジャングルの奥にいてくれたようです



犬を励ましながらさらに歩いていくと、薄暗くなった道の先に現地の女性たちが立っていました。
この犬がいなくなったことを心配して、探しに来たそうです。
名前はジュディ、メスでした。
この犬を無事に送り届けることが出来たことに、私たちは心から安堵しました



「この犬は猿と戦った」、と伝えると、とても驚いていました。
ジュディはおとなしくて、そもそもこれまで誰かについてどこかに行くなんてことは、なかったそうなのです。
人間に飼われていたジュディは、本能から咄嗟に私たちを守ってくれたのかもしれません。
ですが、猿の親子も驚いたはずです。
野生動物の猿からしたら、突然重機で真っ二つに自分たちのジャングルを切り裂かれ、人間が出入りするようになり、そして突然現れた犬に威嚇されました。
お母さん猿は、子供猿を守りたかったのでしょう。
私たちが反対側のビーチの美しさに惹かれて歩いた道は、ジャングルに生きる、生きものたちの痛みの上に築かれたものでもあります。
ジュディとともに歩いた2時間近くの道は、野生と半野生、自然と文明社会、そして祈りが重なりあった魂のワークショップでした。
私たちは、
「あなたたちはどの視点から、目の前の世界を見ているの?」と問われていたのです。
今回カンボジアのために設定したリトリートツアーのテーマは、<真の女性性の覚醒>。
カンボジア
という国のベースにある、無条件の愛と赦しに向かうために、「正しい」と「間違い」の二極のジャッジを超えて、

自然界や動物、価値観のあわない他者と共存するとはどういうことなのかと、多様性の視点から問いかけられる、受講生の皆さんとのまさに「生きたリトリート」となりました
